株式会社エイブルスタディ代表取締役の牟田社長をインタビュー
昔「いい先生」だった「この人!」
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ベンチャー経営者や、社会で重要な役割を担っている人達のなかに、学生の頃に家庭教師や塾の講師をしていた経験を持つ人は多い。そのような人達に対して、シリーズでお話をうかがっていきます。
また、このシリーズは、特に大学生の方に読んでいただくことを念頭にして構成をしております。
取材・執筆:「いい先生ねっと」先生紹介センター代表 寺田貴久子
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アメリカの大学で日本語教師を勤め、
学費・生活費を稼ぎながら、MBAを取得した
株式会社エイブルスタディ代表取締役の
牟田明生(むたあきお)氏をインタビュー
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株式会社エイブルスタディ 代表取締役 牟田明生(むた あきお)氏 |
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上智大学経済学部卒業。総合商社トーメンの退社後、アメリカペンシルバニア州スクラントン(Scranton)大学にて日本語教師を勤めながら、同大学院にてMBAを取得。卒業後、アメリカの穀物メジャーのカーギル(Cargill)の金融子会社(CIS)に勤務。帰国後、アーサーアンダーセンにてコンサルタント業務に携わったのち、2001年株式会社エイブルスタディを起業。
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牟田氏のプロフィール
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| 93年 |
上智大学経済学部 卒業。 |
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| 93年 |
総合商社トーメン(現豊田通商)に入社。
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海外で働いてみたいという希望が強くあったため、就職活動時に、各々の商社を比較してみて、全社員のなかでの海外駐在員の割合が一番高かったトーメンに入社。ところが、実際に入社してみると、海外に赴任できる切符は年功序列方式で順番が決まっており、国内で最低4,5年間は働く必要があるということに気付いたため、自分自身でアメリカに行くことを決意し、退社。
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| 97年 |
アメリカペンシルバニア州スクラントン(Scranton)大学院にてMBA取得。
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同大学にて日本語教師を勤め、学費・生活費を稼ぎながら、MBAを取得。 |
| 97年 |
アメリカの穀物メジャーのカーギル(Cargill)の金融子会社(CIS)に勤務。
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日本の大手証券会社の債券ディーラー部門に対する日本国債先物などの売買仲介に携わる。
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| 98年 |
帰国後、アーサーアンダーセンにてコンサルティング業務に従事。 |
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| 01年 |
エイブルスタディを起業。 |
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<目次>
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大手企業での仕事について
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───弊社会員には、大手金融機関やコンサルタント会社、総合商社への就職に興味を持っている大学生が多いので、牟田社長のご経歴などをまじえて、その業界まわりのことを色々とお聞かせください。
はい。大学卒業後、総合商社トーメンに就職しました。学生の頃から、海外で働いてみたいという希望が強くあったので、就職活動時に、各々の商社を比較してみて、全社員のなかでの海外駐在員の割合が一番高かったトーメンを選択しました。
───会社の規模よりも、海外に赴任できる環境かどうかという点を一番の比較ポイントにしたのですね。
はい。ところが、実際に入社してみると、自分の配属された部署は、海外赴任までかなり時間がかかるということに気づきました。年功序列方式で赴任する順番がまわってきて、自分がいけるのは、早くても4,5年先。そんな先まで待てないなと。それだったら、自分で海外の大学院に入り直して、それを足がかりに海外企業への就職を目指したほうが早いと思いました。
───アメリカの大学院でMBAを取得されたことについては、またあとでくわしくお伺いしますが、大学院ご卒業後、アメリカの穀物メジャーのカーギル(Cargill)の金融子会社に就職されてますね。
アメリカシカゴ(シカゴマーカンタイル取引所)は、昔も今も、世界の商品先物の中心地です。カーギルはそのなかでも、穀物メジャーと呼ばれ、穀物先物最大手の、市場をリードしていくような会社でした。
私は、その会社のジャパンデスクにて、日本の大手証券会社などを相手に、主に、日本国債先物、商品先物の売買仲介をする債券トレーダーをしていました。
───債券トレーダーとは具体的にはどのようなお仕事ですか? 債券ディーラーとはまた別ですよね?
証券会社は、顧客の投資活動を手伝うだけでなく、自社の保有資産を増やす目的で、機関投資家として、株式や債券、為替などの売買を自らしています。このような自己売買業務をディーラーと呼びます。それに対して、トレーダーとは、証券会社の自己資金を使わずに売買の取引仲介を行う業務を指します。かみくだいて説明すると、ディーラーは自分の会社のお金を増やす目的で売買する業務、トレーダーは自分の会社以外の利益のために売買する業務という感じになるでしょうか。機関投資家から注文を受けて、それを市場に流す仕事がトレーダーです。
───日本に帰国してからは、どちらにお勤めになられたのですか?
その当時、ビッグ4のうちの一つだった会計事務所アーサーアンダーセンです。そのなかのビジネスコンサルティングという部署にいました。アーサーアンダーセンは私の退職後、あのエンロン事件で監査を担当していたことが引き金となり、解散してしまいました。
───大学生からよく質問されるのですが、はじめての就職先としては、大手企業とベンチャーとどちらがよいと思われますか?
私自身は、大企業の単調なルーティンワークに耐えられない思いをした経験があるので、1年目から任せられる範囲の大きいベンチャーを勧めますね。社会人なりたての頃は、ものすごくバイタリティがありますので、そのエネルギーを十分に活かすことのできる労働環境に思い切って飛び込むべきだと思いますよ。
───ベンチャーは確かに与えられる仕事の範囲が広いですよね。ほとんど「丸投げ」状態の指示だったり(笑) その大変さ、プレッシャーを楽しめる人などにはいいかもしれません。最近は、本当にびっくりするような話ですが、就職説明会に、父親や母親が代わりに出席するケースがあるらしいですよ。
確かに、留学カウンセラーを10年近くしてますが、ここ数年、親御さんが横から意見してくる頻度が急に高くなった気がします。親御さんが過保護すぎて、精神的に自立できていない学生さんも多くなったような感じもします。留学は人生の一大イベントですから、家族ぐるみでよく話し合うのは当然ですが、最終的に決断するのは自分自身ですし、情報収集やその取捨選択を自らが行えるぐらいでないと、留学も成功しません。
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学校選びのコツ
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───海外の大学、大学院、短大、専門学校など、選ぶ際のポイントを教えてください。
まず、日本の大学を卒業した人の場合、海外でもまた大学に行くのではなく、大学院を選択するべきです。学部が違うという理由や、英語が下手だからという理由で妥協する謙虚な人が日本人には多いのですが、海外では学部を変更することなど当たり前ですし、大学と大学院の学部が異なっていても問題ありません。
必要とされる必須科目だけ留学先の大学でとればよいのです。
海外の大学や大学院、専門学校は、専門性が非常に高く、その専門分野における有名な学部や学校が存在します。何を勉強したいのか、その勉強をするにはどの学校に行くのが一番自分に適しているのか、といった視点にて学校を選択していきます。
───では、海外の大学院についてですが、世界中に多数ある大学院のなかから自分にあう地域や科目を探すには、どのようにして情報を集めたらよいのでしょうか?
まず、アメリカは2年間コースで、イギリスは1年間コースが多いです。なので、1年間という短い期間で集中して学びたいという理由で、イギリスの大学院を選ぶ方もいます。専攻に関しては、自分自身が最終的になにをやりたいのか、そのゴールのイメージによって選択していきます。私の友人にも筑波大学でスポーツ経営学を勉強したのち、ロングビーチ大学のスポーツ経営学部を卒業し、現在はアメリカでプロのフィッシングチームのマネージャーをやっている人間がいます。海外には、映画学部や舞台芸術、ホテル学部など、あまり日本にない学部も大学教育として存在します。また、英国には、フラワーや園芸を学ぶ高等教育も存在します。そういった日本の大学には馴染みのうすい学問を学びたいのでしたら、一度海外の学校を調査するのもよいでしょう。
───牟田社長ご自身がスクラントン大学の大学院を選ばれたのはどのような理由でしょうか?
大学院MBA取得の授業料は一般的に高額なところが多いのですが、色々と調べているうちに、大学で日本語教師をすることによって、大学院での授業料が免除になるシステムがあることを知りました。そこで、日本語教師になるための選抜試験に出願してみたところ、無事合格しまして、ペンシルバニア州にあるスクラントン大学で指導するようにと指示されました。
───そういうシステムがあるのですね。はじめて知りました。
学費免除以外にも、お給料が月に800ドル出ましたから、それで留学中の現地の生活費を全額まかなうこともできました。
───留学したくても、まとまった学費や生活費の捻出に困っている人にとっては、よいシステムですね。
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日本語教師について
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───スクラントン大学での日本語授業は何コマ受け持たれていたのでしょうか?
90分授業を2クラスあわせて、週に6回指導してました。黒澤明の映画鑑賞をしたり、その当時流行ってた相川七瀬の曲を使って即席カラオケ教室をしてみたり、天気のいい日には青空教室と称して屋外で授業をしたり…、大学の講義にありがちな固苦しさは抜きで、かなり自由に指導をさせてもらってました。採点が甘くてA評価をすぐつけてくれる先生としても有名でしたので(笑) 生徒から人気のあるクラスでした。
───印象に残るエピソードなどはございますか?
私自身の大学院卒業とともに、大学の授業からも去ることになったのですが、サプライズで、クラスの生徒達が、写真入りの額をくれました。「ARIGATOU GOZAIMASU SENSEI OKIOTSUKETE」と額に彫ってあります。「Take care」の日本語訳はどういう意味かとその数日前に質問されて、深く考えずに「OKIOTSUKETE」だと答えたら、それがそのまま額縁に文字入れされてました。思い出深い大切な記念品です。
───日本語教師の指導自体は楽しめましたか?
日本語教師は、最初生活の手段として選択した仕事でしたが、やってみると大変面白くて、スクラントン大学院の卒業少し前に、日本語学校の経営を目指して、ニューヨークでリサーチをかけたぐらいです。調べてみると、日本語ブーム熱が去りつつあるということと、NPOの協会がいいプログラムを無料で実施しているため、商売にはならないということがわかり、断念しました。が、学校経営を考える必要がなければ、日本語教師自体は、やりがいがあってとても楽しい仕事だと思います。日本語を全く話せなかった人が少しずつ話せるようになっていくのを見るのは、自分の作品を眺めるような気分で充実してました。老後の楽しみで、またやってみたいですね。
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MBA取得に関して
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───海外の大学院だと途中でドロップアウト(退学)してしまう人が多いと聞きますが、実際にまわりでそのような方はいらっしゃいましたか?
スクラントン大学院の場合、生徒数が少人数で、リベラルアーツ系の家族的な大学だったということもあり、先生が徹底的にケアをしてくれる環境でした。勉強をする、将来の目標がある、といった志さえ自分のなかできちんとあれば、海外の大学院でもドロップアウトすることは決してありません。
───大学院のなかでもMBA取得のカリキュラムは特についていくのが大変と聞きますが…。
レクチャーがあり、セミナーがあり、ディスカッションがありました。研究の進捗状況の報告に加え、論文執筆も毎週課せられてました。1年間に読むべき本のリストはゆうに300冊を超えてました。1日10時間ぐらい、毎日勉強してましたが、遊ぶこともなくひたすら学問に没頭できるというストイックな環境に満足もしていました。2年間の大学院生活で、語学力だけでなく、専門知識も得ることができ、それを足がかりにアメリカの金融機関に就職することもできましたので、希望どおりの大変有意義な留学でした。
───海外のMBA取得の大学院ならではのユニークな授業とかはありましたか?
マーケティングの授業で、4チームにわかれて、株価を競ったシミュレーションゲームは面白かったですね。4チームでそれぞれ自動車会社を模擬で設立・運営するのですが、スポーツ車専門の会社とか、低価格路線でいく会社とか、全世界制覇の知名度を目指す会社とか、チームごとの特徴があり、それぞれに応じた宣伝費用やディストリビューターでもって、会社運営シミュレーションを行いました。売上、純利益などは先生の評価に基づいて厳密に算出され、それによって、最終的な株価がはじきだされるのですが、途中経過の考慮はなく、授業の評価は、最終的な株価のみでシビアに決定されました。一番大変だったのは、チーム内の意見調整でしたね。まわりを納得させる詳細な説明、細かいニュアンスを英語でうまく伝えるのは難しいものです。
───ご自身で会社を起業されたわけですが、MBA取得をしたことで何か起業に役立っていることはありますか?
元来、MBAは、大企業の幹部候補が受ける内容の授業であって、起業向けではないと思います。しかし最近ではMBAの中でも起業ノウハウを学べるアントレプレナーコースもあります。私の学校では、アントレプレナーの授業はなかったので、特に起業に直接結び付くものではありませんでした。
───大学院、大学、高校など、留学をはじめるお勧めのタイミングとかはありますか?
高校まで日本の学校で過ごし、大学から海外へ行くのが理想的だと思います。日本人としての一般教養、文化をきちんと身に付けたうえで、海外の学校で国際的視野を得ていくというのがお勧めです。高校、中学から海外に行ってしまうと、英語力は磨かれますが、日本語の敬語が出来なかったりして、まるで外国の人のようになってしまいます。それだと、日本の企業で働くときに、支障が出てきてしまいます。日本語も外国語も両方きちんとできてこそ、バイリンガルですから。
───留学に関することで何か他にございますか?
日本の経済は今衰退してきてますが、その遠因に英語が話せない人が多いというのがあると思います。韓国の場合、大学生の約9割は留学しますし、英語が話せないと将来生きていけないというぐらいの感覚で必死に勉強をします。インドの学生も英語の話せる比率が高く、語学力による国力の差は大きいと思います。政策で数ヶ月間奨学金を与えて海外に送り出すなど、国をあげて学生の語学力をあげていく制度などが今後あればよいのではないかと思います。
───色々とお聞かせいただき、ありがとうございました。
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留学カウンセリングを行った人達からのお礼状や写真に囲まれて
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バックパッカーで数年間かけて世界1周の貧乏旅行をすることが夢。
『学生の頃の旅行の一番の思い出としては、北アイルランドのベルファーストというかっての紛争地帯にて写真を撮ろうとした時、地元で知り合ったお爺さんから「写真ではなく、心に焼きつけてください」とさりげなく断りが入ったことです。人が多数亡くなって現在は観光スポットになっているような場所だったのですが、そのとおり、写真は撮らずに、眼に焼きつけました。その時のお爺さんの言葉のトーンや一緒に眺めた風景が今も強く記憶に残っています。』
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牟田氏へのお問い合わせ |
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2010.06.17 エイブルスタディの社屋にてインタビュー。
取材・執筆:「いい先生ねっと」先生紹介センター代表 寺田貴久子
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